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なぞとき、 長編小説、
「光の道を備えよ!。」

参、流浪編。 @、進路の忘却。
3、 山下鉄工。
基督教、伝道者と、遭遇。天神駅。
真理教会の十字軍 に入信。
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勤労青年ではなく、献身を勧める社長。
青年期の、弟の「まこと」の放浪記。
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真理教会の十字軍 に入信。
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3、 山下鉄工 (従兄弟の会社。)
基督教、伝道者と、天神駅で遭遇。
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転換期。
この時から両親の、「まこと」に対する信頼と期待は、完全に無くなった。(こんな人間を社会に出すと迷惑をかける、…。)「チカ」は、姉のシマの息子が鉄工所をやっているのを思い出し、そこに「まこと」を連れて行って、そこで働かせることにした。
従兄弟の「のぶゆき」は、山下製作所という小さな鉄工所を経営していた。「まこと」はそこで古い旋盤を与えられ、しばらくは真面目に機械の部品を削っていた。
「まこと」は、(家族たちに二度と心配かけないように、同志のことはもう忘れよう…。)と、決心し、真面目に実家から新しい職場に通っていた。 「まこと」が、出かけた後、家に左翼らしきひとからの電話があり、「まこと」の行方を聞き出そうとしたが、「チカ」は、その度、「さあ、何処に行ったか判りませんが…。」と、とぼけた。
それから、何事もなく半年程が過ぎた。ある日の休日、「まこと」は、久しぶりに外出した。ぼんやりと、天神の商店街を歩いている時、駅の街頭に立つ奇妙な青年達の群れに、心が奪われた。(彼らは、左翼ではない、何者だろうか…?。)
興味を覚え、人ごみの陰から、彼らの様子を見つめた。(彼らは、自分の人生を変える、何かを持っているかも知れない…。)と、直感的に思った。 また、新たな問題をひき起こして、これ以上、家族たちに心配をかけたくなかった。だが、どうしても彼らが気になって、不思議と、駅の前の広場をたびたび、歩くようになった。
初恋。
ある日の夕方、いつもの駅の階段を上がろうとした時、横からツカツカと、魅力的な女性が近寄って、声をかけて来た。 スラリと背の高い、美しい女性は、「真理教会」の、伝道師の「なおこ」という女性だった。

彼女は、頭をペコリと下げた。「ちょっと、アンケートを取らせ下さい。…聖書に関心有りますか?。」(んー…。)戸惑っている「まこと」に、次々と色々な質問した。
「最後に今あなたの抱えている、あらゆる問題を解決できる、『新しい真理』という講義があるとしたら、聞いてみたいと思いますか?。」と問いかけてきた時、「まこと」は、咄嗟に、「はい。」と答えて、そのまま、すぐに講習会に行くことに決めてしまっていた。
その日、伝道所に連れて行かれて、簡単な講義を受けた。 いきなり、「左翼思想は悪魔の思想だ!。」ということを教えられた。確かに、「銃で資本家を倒し、暴力で労働者の平等社会を目指す共産主義よりも、「愛の力で、世界を平和に導こうとする、新しい真理」のほうが、はるかに優れていることに納得し、またたく間に「無神論」から「有しん論」に急転化していった。
彼女に逢った事で、それまで引きずっていた唯物思想の洗脳から、突然こんなにも簡単に解放されていくとは思いもしなかった。 今まで花を美しく思ったりする情緒も無かったが、自然を造った存在を教えられた時、青い空や白い雲が、人間の感性に、呼応するように創られた、神の美しい贈り物に見えて来たのだった。ただ人間の心だけが汚れて見えた。(人間は、果たして堕落しているのだろうか…?。)
神秘性を秘めた、伝道師の「なおこ」が、真理の言葉を語る時、透き通ったピンクの唇が、艶めかしく動くのをぼんやりと見ながら、いけないことを想像している自分を叱った。
「まこと」は、「理想の女性」に出逢った「喜び」と、近寄りがたい「きよい世界」が、複雑に絡んで、夜も昼も、胸が一杯になった。自分の思いが、伝えられない、もどかしさを感じ、「なおこ」の似顔絵を描いて、壁に貼って、ぼんやりと見ている日々が続いた。
「まこと」は、恋愛の情を持って「なおこ」に近づいていったが、「なおこ」は、常に「伝道師」としての、高い次元で対応した。「まこと」は、いつしか「なおこ」と結ばれる「夢」ばかりを見るようになっていた。
ある日、たまらなくなって、教会の女性に、恋愛の事について聞いた。だが、「教会での恋愛は、絶対に禁止されています。」と、言われて、失望してしまった。
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姉、かつえ。
やがて、「まこと」は、「アパートを借りて、そこから通勤したい。」と言いだした。だが、「チカ」は、(息子はまた左翼の人間と関わるのではないか…?。)と、心配だった。「もう大丈夫だよ。「共産主義」は、間違っている事が判ったから…。」「チカ」は、そう言う「息子」の言葉を信じて、一人暮らしを、許すことにした。
こうして、「まこと」は、それから毎日、堅粕のアパートから、自転車で、従兄弟の経営する、「山下鉄工所」に通うようになった。日曜日になると、部屋の窓から見える、「ガタガタ」と行き交う電車を一日中、ぼんやりと見て過ごしていた。
次の日曜日、姉の「かづえ」が訪ねて来た。「かづえ」は、近くの「和裁学校の寮」に住み込みで習いに来ていた。「「まこと」、この前ね、左翼の女性が「まこと」の行き先をたずねて来たわよ。」
「ああ、そう…。」「その女性がね、お前の弱いところを、色々と言って批判したからね、私、ついカッとなって『関係ないでしょ!。弟のことを、あなたから、そんなに言われる筋合いは無いわ!』と、言い返してやったわ。」
「かづえ」は、一見おとなしい女性に見えたが、激しい性格が潜んでいた。 「まこと」は、既にもう、「反共の立場」に立っていた。家族の心配の種になるし、もう彼らとは一切関わりを持ちたくなかった。「うん、それでいいよ。」「まこと」は、姉に答えた。
しばらくすると、「まこと」は、「かづえ」に『新しい真理』の話をしていた。 左翼から、離れたばかりの弟は、既に、次の「新たな価値観」に取り憑かれ、僅かの間に「神の存在論」の話をしていた。
そんな弟にあきれたのか、「まこと!、あんたは、もう次のものに影響されてるの!。それに、そんな断定的に、決めつけたような教えを、人に押しつけるんじゃないよ!。」 弟の話す言葉を、いきなり遮り、強く叱りつけた。
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天使の誘惑。
伝道師の「なおこ」からの手紙が、頻繁に来ていた。その中に、「まこと」の心を強く打つ、聖句が書いてあった。 「私の子よ、シュの訓練を軽んじてはならない。主に責められる時、弱り果ててはならない。シュは愛する者を訓練し、受け入れる全ての子を鞭打たれるのである、…。」
この聖句が、自分の為に書かれた、特別の言葉に思え、すっかり感銘した「まこと」は、悪い癖で、またもや何回も、この文章を唱えて繰り返していた。
その、神の訓練が、この組織に入って受ける、訓練であることを直感した時、(僕は、この教会に入信しなければならない…。)と、強い衝動が走った。そして、その予感通り、「まこと」は、この組織と関わり、献身する状況に追い込まれていくのだった。
「まこと」を伝道した、「なおこ」という美しい女性は、髪を短めに切り、いつもこざっぱりした身なりをしていた。探し求めていた、素晴しい「理想の女性」、「神の道」を説く、天使のような彼女に、時々会えることが、何よりの喜びになった。
いつしか「まこと」は、恋におちて、(スラリとした彼女をもし抱くことが出来れば、どんなに幸せだろうか…。)と、毎や、妄想を抱いて熱く悶えた。
眩しいほどの、聖い世界を持つ女性に対して、肉欲の思いが湧いて来るのがとても醜く、いけない事のように思えた。
やがて彼女によって、人生の目的を教えられ、堕落した人間を救おうとされる「神の使命」のために一生懸命に生きる姿を、最も尊い価値観として見るようになっていく。
そしていつしか(「なおこ」と人生を共にしたい…。)と、思うようになっていった。 「なおこ」の手紙には、「「まことさん」といつか、一諸にやれる日を楽しみにしています。」と書いてあった。
だが、集団生活が苦手な「まこと」は、人が大勢集まる組織に、献身する気持ちなど、すぐにはなれなかった。
職場のはうには、「なおこ」からの電話が、よく掛かって来ていた。「まこと」を預かった従兄弟の「のぶゆき」は、(また誰かに誘われてるな…。)と、心配しながら受話器を手渡した。
「修練会に参加してほしい。」という誘いだった。「まこと」は、横目で、社長の「のぶゆき」の目線を、気にしながら断った。「今は、仕事が忙しいから、とてもゆけません。」
「今井さんは、何の為に働いているの?。仕事よりも、人間として知らなければならない、大切なことがあるでしょう。それをぜひ聞いて欲しいの…。」「なおこ」が、余りにも、根気強く言うので、「まこと」は、とうとう断われなくなった。電話を切ると、「まこと」は、「すみません、一週間だけ休みを貰えませんか?。」と、頼んだ。「のぶゆき」は、渋々許可した。
「まこと」は、修練会に参加し、『新しい真理』の講義を一通り聞いた。朝から晩まで、「詰め込み式」に語られる講義だった。
そして、一週間の「修練会」が終わると、何事も無かったように、また会社に戻って働いていた。
「のぶゆき さん、、しばらく勤労青年として入信してやらせてくれませんか?。」「まこと」は、帰って来るなり社長に相談した。
「どうせやるなら、中に入って、思いっきりやったらいい。そうすれば、どんなものか、はっきり判るよ。」「え、…?。」「とにかく、二ヶ月間やってみて、その結果を報告してくれ…。」と、独断で、勝手に期間を決めて、「まこと」に約束をさせた。
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氷の心。
次の日、「まこと」は、色々と迷った挙げ句、(やっぱり働きながら教会に通っていこう。)と決め、相談しようと教会を訪ねた。ところが、その日、新任の「団長」が、たまたま来ていた。話をしているうちに、「今は、そんな時代じゃあ無いよ!。すぐ献身しなさい。」と、有無を言わせず、強引に献身することを、決められてしまった。
しばらくして、「なおこ」が現われた。自分が全く知らないうちに、「まこと」が献身する話になったことを知って「なおこ」は、驚いた。(私に何の相談もなく…。)「まこと」に対しても不満があり、横から強引に決めた団長に対しても、腹立たしく思った。
「なおちゃん、今井くんを、みんなのいる場所に、一緒に連れて行きなさい。」「え、…はい…。」返事しながらも「なおこ」は、何か他に用事があったのか、不満そうな顔をした。
こうして二人は、夜のバスに乗ったが、何故か気まずい、沈黙の時間が続いた。(越権行為で、まずかったかな…?。) 「まこと」は、色々と考え過ぎて、胸が痛くなった。「なおこ」は、怒ったのか、着くまで、ほとんど何も喋らなかった。
「まこと」は、献身してから、「なおこ」と一緒に活動をするうち、彼女が自分の思い描いていた「優しい心をもった理想の女性」ではないことを、次第に感じていった。
「なおこ」は、「教会の教義」を堅く信じて、ただひたすら忠実に、その教え通りに、厳しく従おうとする人だった。幼い信者たちを導く責任を、一人で背負い込んで、一生懸命に実績を出そうと、頑張る人だったが、「まこと」には、(彼女の心には、人間としての、本当の思いやりや、愛情が欠けている。)ように写った。
「まこと」は、次第に「なおこ」と、心が通わなくなっていった。「なおこ」は、組織の命令に徹底して忠実で、実績を追求するあまり、真面目に取り組まない、「まこと」を、激しく批判するようになった。
(こんな、いい加減な人、伝道しなければよかった…。) 「まこと」にとって、あれほど、憧れの女性に見えた人が、その、「冷酷な本性」を見せた時、(ここは自分の安らぐ場所ではない…。)と悟った。人間愛を忘れて、実績ばかりを追い求める、組織の非情さに苦しくなって、次第に疑問を感じていった。
はや、半年過ぎた。だが、「二ヶ月経ったら報告する事。」という「社長」との約束は、すっかり忘れてしまっていた。「まこと」は、いったん何か始めると、何もかも忘れてしまう処があった。
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祖母の死。
「ゼン」は、八十歳まで、ほとんど病気知らずだったが、「まこと」が、左翼に洗脳された頃から、次第に元気が無くなっていった。そして、今度は宗教にかぶれた「まこと」を、みんなが寄ってたかってけなして、「できそこないめ!。」と、馬鹿にするので、「ゼン」は、これ以上「まこと」のことを擁護することができず、次第に言葉少なくなった。
どんなことがあっても、「ゼン」だけは、最後までかばっていたが、家族のみんなに、理解して貰えない、もどかしい思いが膨らみ、腹の中に苦いものがあふれていった。次第に、「ゼン」の腹には、黒い影が差していた。体調が悪くなり、お腹が少し膨れるようになった。「まこと」が、教会に入って一年過ぎた頃、「ゼン」は、畑仕事も出来なくなった。
ある日、「ゼン」は、自分の余命が、あと幾ばくもない事を悟り、ある重大な覚悟を決めていった。そして、どうにか、やっとその準備が整い終わった時、急激に力が抜けていった。 もう、立っているだけで、つらくなり、やっとの思いで病院に行くことにした。
診察の結果、「即、入院」という事になり、すぐ、おお手術を施されたが、それから、急激に容態が悪化していった。
「チカ」と「かづえ」が、交代で、「ゼン」の付き添いに通っていた。「おれは、今まで「チカ」さんに好きなことばかりさせて貰って来て、ほんに幸せもんぞ、…。もうなんにも思い残す事は無かー。」 付き添いに来ていた「かづえ」に、「ゼン」は、しみじみと話すのだった。
ある日、「チカ」は、着替えを持って行ってやろう。と思って、二階の姑のタンスを開けた。だが、あれほどたくさんあった着物が、一枚もなく、空っぽであった。驚いて他の引き出しも、次々に開けていった。
そして、最後の引き出しに、ポツンと一つだけ、風呂敷に包まれたものが現われた。むな騒ぎを感じて、急いで結びをほどくと、そこには、喪服を着た「ゼン」の写真と、白い「死に装束」が、きれいにたたんで入れてあった。
「ゼン」は、自分自身の死期が近いのを、既に予感して、何か「願」をかけるように、きれいに身辺整理をしていたのだ。「チカ」は、姑の「ゼン」の、死を迎える準備と覚悟に驚いてしまった。
やがて、「まこと」のもとに、「祖母が危篤。」という知らせがあった。ほかの町に、派遣されていた「まこと」は、かなり時間が経ってから、その知らせを聞き、慌てて見舞いに行った。 だが、「ゼン」は、既に抗ガン剤を打たれて、激しい痛みで、体を「ガタガタ」と痙攣させて、苦しみもがいていた。
「ゼン」は、親族のみんなに見守られながら、何かを託すように、「チカ」の名前を呼びながら亡くなっていった。「「チカ」さん、…後のこと頼みましたばい…。」
お通夜の夜、姉の「かづえ」が、遺体にすがり、「ばあちゃん!、ばあちゃん!。」と激しく泣いていた。 「まこと」は、身を切られるように悲しかったが、自分のせいで祖母が心を痛め、急速に体を病んでいった気がしていた。
冷たくなった「ゼン」の遺体を見ながら、(ばあちゃん、ごめんよ、ごめんよ…。)と、心の中でつぶやいていた。自分が祖母を死に追いつめたのに泣くわけにはいかなかった。(泣いちゃいけない!泣くもんか…。)「まこと」は、平静を装い、涙をじっとこらえた。
横で、静かに立っている弟に気がつき、「かづえ」は、涙を拭きながら聞いた。「まことは悲しくないの?。」「…人間は、みんな、…いつか、死んで行くのさ、…。」「何よ!。「まこと」が、ばあちゃんに一番可愛がって貰っていたくせに!。」「かづえ」は、「まこと」を激しくなじった。
「まこと」は、信仰するようになってから、(人間は、死んで肉身を脱いで、魂は霊界に行くもの…。)と、思い、肉体の別れが永遠の別れとは思わなくなっていた。 「ゼン」の魂は、いつも自分の心に語りかけ、見守ってくれている感覚があった。そこに在るのは、「ゼン」の「抜けガラ」だけだった。
(ごめんよ、ごめんよ、おばあちゃん!。今、何処にいるの…?。) 「まこと」は、目を閉じて、祖母の魂が何処にいるのか捜した。 その時、「ゼン」の霊が、「まこと」を包み込んだ気配がした。脳裏に、「ゼン」の顔が現われた。
(「まこと」…よかよか、泣かんでよか。、おれの事はもう、いいけん、自分の道をゆきなさい…。いつも、見守ってあげるけんね。ばあちゃんは、もう地上では、お前のことを守れないことが判ったよ。これからは、霊界から、いつでも何処でも、飛んでいって、守ってあげるからね…。)心にそう語りかけると、「まこと」を包み込むように、背中に消えていった。
翌朝、「ゼン」の遺体は、死に化粧が施され、生前大切にしていた物と一緒に、棺に入れられた。やがて、棺は火葬場に運ばれ、火が点けられた。みんなは、控え室に移動したが、「まこと」は、外に出て、煙突から上がる煙をしばらく見ていた。だが、急に何かを感じて、一人だけ元の火葬の場所に戻って来た。
覗き穴から、ゴーと燃える、棺の中を覗くと、下の方に「お経の本」がチラリと見えた。「お経」の周りだけ炎がよけて燃えていた。 見えない力が、「お経」から出ているのを、「まこと」は、不思議な思いでしばらく見ていた。
一時間後、焼けた骨が出て来たが、あれだけの強い炎の中でも、「経本」の周りが、少し焦げただけで、「お経」の文字は、しっかりと燃えずに残っていた。みんな「不思議だ…。何かの念が入っていたとやろうか?。」と、話した。
「まこと」は一人、祖母の事を考えていた。あまりにもあっけなく亡くなった「ゼン」の、死に際の見事さに何かを感じた。まるで、幼い主君に、最後まで忠誠を尽くして逝った、武士の見事な心得のようなものを見た思いがしていた。
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人事異動。
「まこと」が、教会に入って二年目、急に「東京」への人事移動の話が持ち上がって来た。(これは、いい機会が出来たぞ…。) 「まこと」は、密かにそう思った。というのも、「東京」に行ったまま帰らない、兄の「のりお」の消息を探すためにも、(いずれ、「東京」に行かなければ…。)と、思っていたからだった。
「渋谷支部」に、行くことに決まったので、新たな「東京」の環境に移るのを機会に、そのまま、この組織から静かに抜け出す計画を立てた。 かすかな不安と希望を、胸に抱きながら、「東京ゆき」の汽車に乗った。
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