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　昔から、「乞食の神」とか「鼻タレ小僧」という おとぎ話が有る。知らずに関わって 少しでも粗末に扱うと、途端に 運から見放されて 悲劇的な不幸が重なり、転落して 家族がバラバラに崩壊して 遠く離されてゆき、悲しい運命に追いやられてゆく。という 不吉で 残念な 昔話の例えの話 が出てくる。

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　その試練が、「我が家」に対して「注意するように。」との「警告」として 与えられていたような 気がするのは、空想ばかりして生きて来た、私だけが 感じる、「独自の見解」なのだろうか？。（みすぼらしい存在を演じさせられた結果、周りの全ての人たちに取り違いが起こってしまったのかも知れない。）という感じに捉えて、反省と教訓ばかりが残ります。

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　兄の辿った不運の人生の「謎解き」を通して、関わった、みんなへの「警告」として起こった出来事だった。と 今頃になって 再認識をしている。さて 果たして何が起こっていたのか？、思い起こしながら 検証していきます。

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　兄が中学を卒業して、有名な、だい会社の、「松下電器」に就職してから、何年か経った頃だろうか、急に、「同窓会」をしようという話が出て、久しぶりに、同級の生徒達、みんなで、「どこかで集まって会おう。」という話になった。

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　… 省略。
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　これは、歳を重ね、晩年になってから、若い頃に起こった 不可解な記憶を振り返って、ようやく見えて来る見えざる、天からの采配という、生き残った我々への 大切な 「警告」であった。と 気づいていく。

　つづく。 （あらすじ。） おわり。

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　つづき。 （後編。） まとめ。

　鏡山への山道を クネクネと曲がりながら バスは右に左に 何度も揺れた。やがて「鏡山の丘」に到着した。広場の向こうには、大音響で フォークダンスの曲が流れていた。　大勢の男女の若者たちが集まって 出会いを求め 楽しそうに 手を取り 一斉に踊っていた。

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　… 省略。

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　実は、兄は この時、恋人の立石スマ子を結核で失って、絶望の暗闇の中に落とされ、必死に立ち直ろうと もがき苦しみながら、周りの迷惑も顧みずに、無理に（同窓会のツアーに参加しよう。）としていたようだ。記憶を辿って、兄の不可解な反応の謎を探ってみよう。

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　「立石スマ子」は、死病の「肺病」治療の為に「結核の療養施設」のある「鹿か駅」のほうに引越して来て、「福吉中学校」に転校してきた。という話だった。

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　　… 省略。
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　兄は、病弱の彼女を 映画館で母に引き合わせた。だが、母のチカの反応は、「結婚の話は どうじゃろうかねー。農家の嫁は つとまらんよ。」と 彼女との結婚への話には、否定的な反応をした。「もし、肺病なら、あんた、気をつけなさいよ。弟達のいる家にはもう連れてこんよ。ね。わかった？。」「う…。うん…。」

　母は、死の病と言われていた、結核の伝染病で、家族が危険になる事は許さなかった。

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　母の答を聞いて 兄は 二度と彼女との結婚の話をしなくなり、彼女を家に招く事もしなくなった。仕事を理由にして、逢うことを控えた。彼女は失望していった。

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　その後 しばらく遭わない日が過ぎていった。彼女は、結核の病が 更に悪化して進行していった。容赦なく自分の体を蝕んでいく病魔に どうにも耐えられなくなった。

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　どうあがいてみても一向に 回復しない、自分の病弱の体を 儚んでか、ある日、「睡眠薬を一度に 多量に服用して 急に亡くなりました。」と 彼女の母親からの 電報の知らせが有った。

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　兄は 母の忠告をそのまま聞き入れ、彼女を遠ざけて 冷たくした事を後悔していた。

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　今まで、何十通もの手紙のやりとりをしてきて いつも達筆だった彼女が、最期の力を振り絞って書いた、「小さな日記」には、薄い鉛筆で 力ない乱れた文字で 遺言のような内容が書いてあった。兄は何度も何度も繰り返して読みながら 不甲斐ない自分を攻めた。

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　兄は 自暴自棄になってやけ酒を飲んで、ほろ酔いを超えた 酩酊状態で 波止場から 海に飛び込んだ。そのまま 心臓発作を起こして、海面に浮かんで来なかったという。　　　「あれ？のりおは、上がってこんぞー！。」慌てて みんなで飛び込んで探した．兄は 海の底で気を失っていた。一時 心肺停止状態になっていたが、救助されて、奇跡的に蘇生した。

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　無謀な事をして、周りの人達に 大変な迷惑をかけた事を、兄は後で 話を聞いた。「なんて、無鉄砲なことを。もう絶対にこんな事、すんなよー！。」と みんなに 何度もきつく叱られて、兄は お詫びの印に 頭を丸坊主にして 皆に反せいを示した。

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　髪の毛が伸びてきた頃、兄が仕事から帰ってきた時、弟が玄関で 何か小さな物を ヒモで縛り、 引っ張って遊んでいた。その茶色い小さな物は、彼女のプレゼントの壺であった。 （ん！。）兄は 思わず「コラッ！、何してるか！。勝手に持ち出しやがって 馬鹿野郎！。」　いきなり 烈火の如く怒り、 大声で 怒鳴った。

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　まことは あまりの大声に、ビックリして 泣き出した。その様子を 祖母のゼンが台所から驚いて見つめた。兄は少し反省し、ヒモのついた三個の壺を 手の平に乗せてしばらく眺めていたが、やがて諦めたように、ポケットにしまうと すぐに自分の部屋に上がっていった。

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　　… 省略。　

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　話を戻そう。兄は 自殺に失敗してから、 悲しい思い出ばかりが募る、松原の海辺の風景に囲まれた 故郷を離れて、どこか全く知らない遠くの場所へゆきたくなった。

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　父親にも、誰にも相談せずに、長年、勤めていた「松下電器」へ、辞表を提出し、故郷を捨てる決意をしていった。千葉の「雪印乳業」に就職先を決めて、福岡を去っていった。

　　　… 省略。
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千葉の「雪印乳業」に就職先を決めて、悲しみの福岡を去っていった。 　兄、20歳。 履歴書用写真。

このころの、兄の表情は、悲しく沈んでいるように見える。本来の陽気な兄の表情ではない。

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　　里帰り。　

　里帰りした兄に、すぐに 「丁度いい処に帰ってきたね。あんた。裏の小屋の中に 丈夫な棚を作ってくれんね。」と、兄は 母から頼まれていた。 杉の木ならば 柔らかくて 簡単に加工して、もうとっくに終わった筈だった。


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　その夜、「のりお！、お前は いつまで遊んどるとか！。」と 帰宅した父親に叱られて、急に「明日、東京に戻る。」と言って いなくなった。 三段の棚だけは、どうにか出来たが、肝心な「入口の扉と 窓」までは、とうとう 作れずじまいに、母の計画してた「大切な小屋」「は、未完成の状態に終わり、放置されてしまった。

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　その後 すぐに 三人の黒ん坊達に 小屋に侵入され、三段の棚を穢されてしまう。兄は それから プッツリと音信不通になった。その日を境に 10年間も消息不明になって、帰れなくなった。

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　「あいつは 蒸発したのか？。死んだかもしれんぞ。」と 父親は死亡説まで 考えた。せっかく兄が、何か 閃きに導かれて 母の大切な手伝いをしに 里帰りしたのに、兄の邪魔をした事にも 父は 気が付かなかった。

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　ここまで、ざっと 兄の 悲劇的な青春時代の 大まかな流れを書いたが、兄が 誰かのしなんをまに受けて、何か大きな 取り違いをして、大事な判断を誤った処から、急に 次々と 気の毒な事が 立て続けに 起きていった事に気づいた。

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　第一の舞台で 起きた不吉な事が、第二、第三の舞台でも 同じ不吉な事が繰り返され、遂に兄は む念の思いで 亡くなってゆく。今となっては、「全てが 警告だった。」と今頃 気づいて 教えてあげたとしても 後の祭りで、何もかも 手遅れ でしか無い。

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　… 省略。
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　彼女は兄の同級生だった。相変わらず 寡黙な反応に、鏡山で 孤立していた 子供の頃の 姿を思い出していた。（あの時も そうやったね。何やってんのかねー。のりさんは、帰らない理由は なんなのー？。）と、険しい表情で尋ねてきた。強く睨まれると、まことは、言葉を無くして、無言で首を横に振って、ただ俯いて、首を横に振るだけたった。


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何も説明出来ず、耐えるしか無い事もある。

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　… 省略。

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　だが 引き出しの鍵が ようやく外される時が来たようだ。出来るなら、兄が生きている時に、あの頃の気持ちを 詳しく聞きながら、「小説」の解明編を、一緒に 合作で書きあげたかった。
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　… 省略。　　----------------------------------

　今は、ポチの英霊と重なる 次の 無念の魂の猿の霊、いな、 兄の霊に 本意を尋ね求め、語り会うしか 残されていない。「惜別編」を書いて 振り返る時、全てが宿命だと感じる。

　… 省略。

　この「小説」は、兄の関係者と、真相を探りながら でしか、完成には辿り着けません。兄の同級生の方々へ。、　卒業アルバムも無く、判らない事ばかりです。もし何か、意味のある面白いエピソードが有れば、メールで、参考画像など 資料を添えて、送って頂ければ 幸いです。ぜひ ご協力を お願い致します。

　令和7年 6月4日 更新。
　　兄の弟より

　　「ポチよ、　泣かないで。」

　　　　１、少年編。 　一部分紹介。

　昭和二十九年、犬の地形の、まえ足にあたる小さな海岸沿いの村に、「信。（まこと）」という男の子が生まれた。

　「まこと」は物心がつくようになると、兄の私（のりお）のあとを追って、ヨチヨチと歩くようになった。

　私は、九歳年下のそんな弟が可愛くなって、（いい遊び相手になるぞ…。）と思い始めて、いた。　

　やがて、「まこと」が、六歳になった時、彼の未来を暗闇に引きずっていくきっかけとなる、ある不思議な事件が起こった。

　その日は、足元から底冷えする寒い朝だった。

　「のりおー！。」

　母親のチカが、妹の授業参観に行く為に、着物に着がえてから、二階に上がって来た。

　… 省略。　

　「のりおー！、母さんは出かけるけんね。あと頼んだよー。」

　… 省略。

　
　「まこと」は、膝を抱いて丸くなり、寒さに耐えながら、ブルブルと小刻みに震え、歯をガチガチと音を立てていた。

　「おかしかねー…。ほら、のりお、ちょっと見なさい。「まこと」が、さむがっとるから。」

　のりおは、勉強を中断して机から離れて、襖の横から「まこと」の震える姿を見た。

　「おっ。」

　「あんた、火をおこして、コタツ を入れてあげなさい。」

　「う…ん、わかった。。」

　チカは、のりおに細かく指示して頼むと、妹のかつえの授業参観にすぐ出かけていった。
　

　… 省略。

　やがて、のりおは瓦コタツの中央に、赤い炭火を丁寧に移すと、上から掛布団をかけた。

　… 省略。

　…省略。

　誰かに見られているような気配がして、「まこと」は、ふと左の、とこのまに顔を向けた。

　もはや誰の助けを呼ぶこともできず、あきらめてじっと耐えていたが、次第に意識が薄れていった。

　「まこと」は不思議な息苦しさの中で、いつしか心地よい深い眠りの世界に入っていった。

　どの位の時間が過ぎたのだろうか…？。　「まこと」は日なたで猫と遊んでいる夢を見ていた。

　その頃、母のチカは、妹の次女、かつえの授業を参観していたが、急に何か激しいむな騒ぎを感じて、教室を途中で抜け出して早めに帰って来た。　

　… 省略。

　ゼンがおそるおそる二階に上がって見たが、布団が一枚あるだけで辺りはシーンと静まりかえっていた。

　（あら？、おらん…。）

　孫が隠れていそうな布団を見つけ、静かにめくってみると、全身肌を桃色に染めて丸くなっている孫の姿を見つけた。

　… 省略。

　「まことー！、まことー！。」 …

　「ああ！、チカさん！。チカさーん！。」

　…省略。

　「チカさん！。「まこと」が、死んだごとなっとるばい！。」

　「まこと」を抱えたゼンが叫んだ。　

　… 省略。

　「まこと！。まことー！。」

　頬を何度たたいても起きなかった。チカはすぐに決意した。

　「ばあちゃん！うちがすぐ病院に連れて行きます。」

　チカは大急ぎで階段を降りていった。

　その時、兄の　のりおは、隣の部屋で勉強していたが、急いで追いかけて降りて来た。だが、チカの背中でダラリと死んだようになった弟の姿を見ると、みるみるうちに、血のけが引き、青ざめた顔になった。

　チカは「まこと」を背負って、あわただしく玄関から駆け出した。

　近くの橋に差し掛かった時、突然、海側のほうから、冷たい風が、

　ピュウゥゥー…。と強く吹きつけた。

　「まこと」を包んでいた暖かい（もや）を一瞬に吹き散らすかのように、チカの背中を通り抜けていった。

　… 省略。