やはり、「長田邸」の建てた「倉庫」が少し前に出ている。これが、微かな「情け」がもたらした、悪人の無意識の中の、ひと欠片の良心の認識というものだろうか？。
人の小屋の軒下を奪った 自分のした事は、すっかり忘れて、「吉村邸」が「今＃川邸」の軒下を奪って、無理矢理に、くっつけて家を建てている
ひどい暴挙に気がついた。気の毒な事が起きてしまったのは、軒下を奪った事が原因で、天罰だったかも…。
その時に、中立の立場で、前の二つの家の、本来の正しい境界の位置を判断しようとしたようだ。「倉庫」の線の位置を合わせようとして、躊躇した様子が伺える。
「政臣氏」は、「倉庫」の基礎を設置する際に、気がついたようだ。母が、裏隣との家だけではなく、横隣の吉村邸の家とでも、仕方なく境界線から、引っ込めて、遠慮して、ブロック塀を建てさせていた事に 私は 気がついた。
自分が、身勝手な「倉庫」を建てながらも、既に「吉村邸」が、「今＃川邸」の境界の位置を犯して、平然として、無理矢理に家をくっつけて、違法に建てている事
に先代は晩年になって気付いた。
ここでも 母が、怒りの気持ちを抑えながら、軒下の道を奪われて、既に設置されてしまったブロックの線に合わせて、悔しさを、いだきながら、成り行き上、仕方なく施工させていた事に、思いを馳せると、「大変申し訳ない事をした。」と先代はつくづく思った。
この時、「政臣氏」は、母の困り果てた顔を思い出していた。「ああ、俺は何てひどい事をしてしまったのか。」と、今は亡き、無念の思いを残して逝ったであろう 母親の霊が取りつき
睨んでいる気配を感じて、「犯してしまった罪を償わねばならない。」という責任と課題を感じ 承知していた。
「吉村邸」に同じ穴の狢の匂いを感じた。同じような、「我良し」の生き方の人種に囲まれて、困り果てていた、母親の姿を思い出して、気の毒だと気づいて、さすがに、申し訳なく思ったのかも知れない。
「長田邸」の次の世代の方達には、しっかりと先代の「過ち」を痛感して頂き、自主的に塀を建てる際には、ぜひ、母に謝罪をしながら、間違った古いブロックを切断して、自発的に本来の正しい位置にブロックを設置して 立て直して貰わねばならない。
それを怠り、放置するなら、毒をまいた罪の賠償責任を、家族全員が問われる事になっていく。 |
