まことの心と体はまるで鉛のように重くなった。青春の光を追いかけず、憧れもしない。
　闇の中に落ちて、唯一人、白痴か死人のように、人生の悩みの深い底に沈んでいった。
　これは、「英霊」の通過した暗闇を背負い、共に課題を果たす条件の「死人」を演じていた。

　気がつくと、まことは、出征兵士の残した「課題」を果たす為に、「墓に眠る死人。」を演じていた。

　生きる希望の光が見えない、まるで「墓の中。」にいるような状態になった。暗闇の中を手探りしながら生きる意味を求めていた。真理という文字に関わる課題を求めていた。　出征した若き兵士達が祀られている忠霊塔の銅版を見ながら、不気味な霊気と、「ブツブツ。」と会話をしていた。

　この頃から、自分の心を包んでしまった「闇」の謎を、「全てを犠牲にしてでも解明したい。」という課題を持つようになっていく。まことの第一に優先すべき課題として与えられたものは、「生きる意味を教えてくれる真理に出会うこと。」であった。その遥か未来の課題を求めて必死にあがいた。

英霊の嘆きを背負った少年は、ポチの悲哀を再現していく。　幼い頃の全ての記憶は、やがて辿るであろう、宿命の道の暗示であった。 　 　英霊のポチは、ウスに変身して、やがて宝を生み出す「訓練場」へと、少年を導くことになるきっかけとなる「闇の声」を演じていく。

　この小説は、「なぞとき講座」で引用し解説する、ひらめきを生む、何気ない過去の微かな記憶の回想物語です。

　引用場面には、なぞときの手がかりが隠れています。全体を通してお読み頂けば幸いです。

　忠霊塔の銅版に手を当てながら、不気味な霊気に包まれ、「ブツブツ。」と会話をしていた。
　芳喜の名前が微かに光り出すシーンは、本編で。　全巻を読みたい方は、フォームより。

            
全ての謎は　本講座　で見えてきます。