【内容】。 訓練の意味を求めて放浪する青春回想記です。竜宮城の玉手箱の謎を解く鍵となる、封印された記憶。　ミケの闘いの意味。
　小説、風刺画、謎解き。「閃きの宝箱」。日本人の存在意味、課題。真理探求企画。

　【一言】。 四行詩の教訓、格言。随想、激励文集。苦悩の青春の闇、放浪体験記。回想文集。
　さまよう現代の浦島太郎の再現。予言成就、開けて驚く白煙、…奇跡の大転換。」
　

　

　単独行動が難しい、集団の渦の中に巻き込まれ、「次の道へと進む。」という課題は、とうのっていった。

　教団に漂う、霊的な檻が包囲していた。闇が体の全体を覆ってしまうと、何も感じなくなった。

　ある日。誰かのつぶやくような気配を感じて 、集団から一人離れて、公園のベンチに腰掛けた。

　目を閉じた、僅かな時間に、内なる心の声が聞こえてきた。（闇を出よ。…孤立への誓いを果たせ。）
　
　

　

　（闇を出よ？。…孤立の誓いを果たせ？。）最初は、何のことか、意味が解らず、遠い言葉に感じた。

　（ん…？。）（闇から出なさい。「孤立な道」でも、一人で行くと約束した、誓いを思い出しなさい。）

　久しぶりに、なつかしい言葉が、頭の中をかけめぐった。（ハッ！。）忘れていた記憶が、蘇ってきた。

　闇、・出る、・孤立、・道、・約束、・誓い…。あの月夜の砂浜に立つ、自分の輪郭が微かに光って現れた。
　
　

　
　
　（そうだ…。私は集団に戻ってから、いつしか、あの自分の「輪郭の光」を見失ってしまった…。）

　共に訓練を受ける、仲間達と同化してしまい 「自分の道」を守る「防壁の光」が消えていた。

　集団の中でも、自分を見失わない印、「輪郭のバリヤ」を思い出すと、体が仄かに光り出した。

　（ああ…。大切な感覚を忘れていた…。確かあの時、私は必死に「何か？。」を祈った記憶がある…？。）
　
　

　
　（ああ、忘れっぽい私を、お許し下さい。もう決して自分の輪郭を見失わないようにします。）

　慌てて、弁解をしていた。（あの時 私が願ったことを、忘れずに覚えておられるのですか？。）

　（契約は、まだ活きていたのですか …？。確か…。あの時、私の願いは、…孤立する別の道…。）

　（孤立しても、別の「光の道」を進ませて下さい。）と必死で祈った。 （そうだ…。今、思い出しました。）
　
　

　
　
　自分では、仲間と共に「光の道」を歩いているつもりでいたが、実は「暗闇の道」を歩いていた。

　行くべき道を見失ってしまう程、深い闇に包まれていたことに ようやく気がついた。自分が

　闇の中にいても気がつかない盲目状態の（闇から出なさい。）という意味がようやく解った。

　（闇から出なさい。孤立しても光の道を行く。と約束して誓った事を果たしなさい。）（…はい。）
　
　　

　
　
　（あなたが、私と交わした、あの契約は、まだ活きている…。孤立を恐れず、「光の道」に進みなさい。

　決死で祈った時に、何も答えなかったのは、「二つの主」を、えり分ける戦いに、あなた一人の

　意志で勝利しなければならなかったからです。…そして、最後には、自分で「行く道」を決めた…。

　その後、「闇」に包まれたわけは、「集団」と「孤立」の、両方の闇を見分ける、課題を示す為である。）
　
　

　
　　
　「ここを去る前に、「闇に置き去りになる群れ」の儚さを、あなたは、先に体験する必要があった。」

　「闇の道」を「光の道」と思い込んで、貫く彼らにも、いつか、正しい「道の真相」を説明しなさい。」

　「惑わしを受け、大切なものを失い、歯噛みをする盲目の群れに、正しい「光の道」を示しなさい…。」

　「滅びの群れ。」と、一定の距離を置き、備えられた、次の「新たな道」に進むべき事を伝えなさい。」
　
　

　
　　
　（闇に置き去り。…滅びの群れ。…正しい「光の道」の備え。と真相…？。）目を閉じて唱えていた。

　（今、唱えた「未来の課題」は、まもなくあなたの記憶から消える…。群れから脱け出す前に、

　あなたの頭の引出しを封印しよう。…いつか忘れ去り…再び眠りから覚める時が来るまで…。

　彼らと別れ、「孤立の道」を進み、人知れず、「光の道を備える」、雛形の歩みをしていく…。）
　
　

※何ものかの侵入で、大切な1行が削除されたようだ。 恐るべき天罰は必至。　
　
　（時が来るまで、封印した引出しを開ける「カギ」は 道案内役をする、ある人間に預ける…。

　そのものは、あなたの足元を照らして、引き返すことの出来ない所まで導いてくれるであろう…。

　その後、使者は離れ、あなたは約束の孤立の道をゆく。だが、いつか、再び出会う時がくる…。）
　
　

　
　
　（道案内の明かりとなり、次の舞台へ導く不思議な心の使者を探して、共に発ちなさい。

　（いつまでも、仮舞台に留まると、そこは、やがて恐るべき、底知れぬ深い暗闇の舞台となる。

　滅びの群れに、永く留まっていてはならない。長居し過ぎると卑屈と腐敗が始まっていく。）

　「はい…。」、　瞑想から覚め、ふと吾に返った。闇にいた自分の頬を、両手で叩いて立ち上がった。
　
　

　　
　密かに脱会する決意をして、戻った私に、思いもかけない何者かが、…少しづつ、近づいていた。

　ぼんやりと空想をしていた…。（一緒にぬけ出す使者の、不思議な心」ってどんな心なのだろうか…。）

　私の横顔を見つめている、誰かの視線を感じた。振り返ると小柄な女性が、ニコッと笑んだ。

　自分の密かな考えを、見抜かれた様な気がして、心臓が「ドキン！。」と鳴り、慌てて平静を装った。
　
　　

　
　　
　彼女とは、以前、台所で話した事があったが、教義が頭に入っていない、「不可解な子」だった。

　強引に勧められて、入信したものの、特殊な心の為に、教団の外で経済を支える立場になった。

　ただ、（ここで頑張っていればいつか祝福が受けられる…。）と それだけを希望に抱いて、 日々、

　地下商店街の露店で、装飾品の販売をして、 毎日、相当な売上げを出し、組織の経済を支えていた。
　
　　

　
　
　彼女は、意外な悩みを抱えていた。それは、教義がよく判らないのに、祝福を受けようとする自分が、

　ほかの信者の感情を逆撫ですることに悩んでいた。それは偶然、ある夜の帰宅時に、部屋の扉の前で、

　聞いた自分への陰口から、脱会への決意を強く持ったという。「あの子はここに居る必要が

　ない人よ。教義が全く理解できない人が 祝福を受けても何の意味もないわ。」（えっ。）
　
　

　
　　
　（私は、祝福受ける必要のない人間なの？。…どんなに実績を出して奉仕しても、意味がないの？。

　私のような、無知で中途半端な人間が、ここにいても、誰もが不可解で迷惑な存在だけなんだわ…。

　局長は、いつも褒めてはくれるけど、売り上げを出してるから、うまくおだてられているだけかな…。

　もういい。私は 祝福なんかもう受けなくても構わない。もう決めた。 今すぐ、ここから出よう。）
　
　　

　
　　
　（だけど、私一人でここをぬけ出せないし、…神様 教えて下さい…。私はどうしたらいいですか？。

　どんな人でもいい。何でもします。どうか、私を、ここから連れ出してくれる人を、遣わして下さい。）　その時、囁く声がした。

　（その願いを聞き入れよう。共にぬけ出すものが、もうすぐ現れる。誘って共に脱出しなさい。）

　（目には見えないが、あなただけには見える、印、暗闇に仄かに光る、輪郭を放つ者が現れる…。）
　
　　

　
　　
　（その者が、次の舞台に向かうまで、絶対に引き返せない所まで、道案内をしなさい。）（あ、はい。）

　（あなたを拘束したのは、その者を過去に戻らせず、間違いなく、次の道へと導かせる為です。）

　（判りました。感謝致します。信じてその人を待ち、一緒に連れ出して、必ず「道案内」を致します…。）

　彼女は、脱会への強い意志を抱きつつ、その機会を じっと伺いながら、待つようになった。
　
　　

　　
　私が従うべきシュは、仮の主人ではなく、「闇に留まらず、次へ進め。」 と示す本来のシュだった。

　私は大切な教訓を得た。組織で用いる神の目的や命令は、仮舞台の訓練のセリフであって

　本番舞台ではない。虚しい嘘つきの物売りをしにきたわけではない。真理を極める為に来たのだ。

　私は、暖かく包み込む、シュの気配を感じた。（あなたは卒業して、おのれの信じる道を貫いていきなさい。）
　
　

　　
　目を閉じて話す癖の、彼女の姿があった。言われた通り、暗闇に光る輪郭を、感じようとしていた。

　新しい人が出入りする度に、目を閉じて、（仄かに輪郭が光る、ものが現れないか…。）と探していた。

　その頃、「道案内をする不思議な心」を探していた私が、彼女の前に現れた。彼女は目を閉じて「印」を探した。

　一瞬の闇の中に、仄かに光る輪郭が見えた。（あ、この人だ…。私が連れ出す相手は…。）
　
　

　
　　
　一方、私は「不思議な心をした道案内人」が、この女性だとは、すぐには気がつかなかった。

　探すべき明かり、「封印の記憶を開ける（カギを預る人。）だった。」と気がつくのは、ずっと後になる。

　（なんだろうか…？。言葉を超えた、仄かな灯火のぬくもり、私を暖かく包み込んでしまう、謎の心とは…。）

　（「道案内の明かり」の「不思議な心」…？。）…微かに、予感して、確かめる為に近づいていった。
　
　　

　
　
　ある日、署名活動をすることになり、私と彼女はペアを組んで、田舎みちに降ろされて家を回った。

　知らない村の、田舎の畦道を歩きながら、２人だけが理解できる、「不思議な会話」をしていた。

　（あのー、僕の道案内をしてくれますか？。）（え、はい！、連れ出して下さい。 道案内をします。）（あ…。）

　予感した「答え」だったが、驚いた。彼女は教義や信仰を、遥かに超越した、心境に立っていた。