ある日 浦島太郎が乙姫様と龍宮城の中を歩いていると 不思議な部屋がありました。

　「この部屋は何ですか？。」とたずねると 乙姫様はその部屋の中へ太郎を案内しました。

　そこは 「四方四季の庭」が見えるという 不思議な部屋でした。

　初めに （春の庭）では 花が たくさん咲いていて 蝶や鳥たちが飛んでいました。　「さあ お花見をしましょう」浦島太郎は 乙姫様や魚たちと花見を楽しみました。

　龍宮城は「浦島明神 龍宮絵巻」の（酒てん童子）が体験した鬼ヶ城を表わしているといわれる人間の時間とは違う 神仙の住む世界である。

　龍宮城の中に 特別の座敷があって そこには 美しい「四方四季の庭」が見られるのだが、 ひと回りすると 一年の周期を一瞬に体験できるといわれる。

　乙姫様から（何度も見ないように…。）と注意されていたのだが 浦島太郎は美しさについ見とれて、グルグルと三百回も 勢いで何度も見て回ってしまったのだろうか？。

　ひょっとすると乙姫様は この座敷の中にのめり込むことが とても危険であることを充分知っていて、「今 見ているこの世界は 虚構の世界かも知れないよ…。」という警告に似た言葉を、何度も言い続けてきていたのかも知れない。
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